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久米島視察

1.目的および概要:環境・エネルギー委員会では、GXを通して2050年カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーの主力化を目指す取り組み事例の調査研究や、沖縄が持つ豊かな自然環境や生物資源の有効かつ持続的な利活用を目指し、その保全・適切な管理の重要性に対する理解を深めることを目的に「久米島視察」を実施した。
当視察では、再生可能な海洋深層水を核とし、「エネルギー・水・食糧」の自給自足で持続可能な島嶼コミュニティを創る「久米島モデル」の概要およびビジョンのご講話から、海洋深層水を複合利用し事業展開している企業視察、ネイチャーポジティブを実践した自然保護の取り組み、久米島町の交通課題や脱炭素社会を見据えた取り組み等の視察を行った。

2.期間:令和6年12月3日(火)

3.参加者:16名

NO当会役職氏名会社名役職
1環境・エネルギー委員長久貝 博康沖縄プラント工業㈱代表取締役社長
2SDGs委員長栩野 浩沖縄ツーリスト㈱執行役員SDGs特命部長
3情報通信委員長浦上 正人東京海上日動火災保険㈱沖縄支店長
4常任幹事栗屋 勝幸住友商事九州㈱沖縄支店長
5常任幹事仲里 武思沖電開発㈱代表取締役社長
6常任幹事中嶋 裕司㈱神戸製鋼所 沖縄支店支店長
7常任幹事仲宗根 斉沖電企業㈱代表取締役社長
8正会員川満 秀昭㈱沖縄エネテック代表取締役社長
9正会員喜納 健日本トランスオーシャン航空㈱取締役
10正会員黒澤 淳㈱IHI九州支社沖縄オフィス所長
11正会員飛賀 博文ミツイワ㈱沖縄支店支店長
12正会員宮田 直大三菱電機㈱沖縄支店支店長
13準会員髙野 衛沖縄日下部産業㈱執行役員営業部長
14準会員森山 崇広三井物産㈱ 那覇支店シニアコーディネーター
15事務局島田 尚昭沖縄経済同友会事務局長
16事務局松島 寛大沖縄経済同友会事務局研究員

4.行程表

5.視察先

久米島町役場プロジェクト推進課
海洋深層水を複合利用し、脱炭素社会に向けた再生可能エネルギーへの転換に取り組みつつ、産業振興や雇用創出を図る、自立型島嶼コミュニティ「久米島モデル」の実現に取り組んでいる久米島町役場を訪問した。濱元 尚哉 氏(同役場プロジェクト推進課長)より、ご挨拶をいただいた後、江洲 誠一郎 氏(同役場プロジェクト推進課 主査)より、久米島の概要や久米島モデルの概要およびビジョンについてご説明をいただいた。

②海洋深層水を複合利用した事例視察Ⅰ
株式会社ゼネシス(沖縄県海洋温度差発電実証設備)
表層海水と深層海水の温度差を利用した発電技術の確立や、海洋深層水の複合利用および地域経済活性化への貢献の可能性について、実証研究に取り組んでいる沖縄県海洋温度差発電実証設備を運営・管理する㈱ゼネシス(沖縄県海洋深層水研究所内)を訪問した。岡村 盡 氏(同社 海洋エネルギー開発部 久米島プロジェクト推進部 取締役部長)より、海洋深層水の定義や特徴等をご紹介いただいた後、実際の取水管材を用いた取水システムのご説明や、デモ機を使った温度差発電の仕組みをご説明いただいた。その後、海洋温度差発電実証設備を見学し、同設備の全体像や概要について理解を深めた。

海洋深層水を複合利用した事例視察Ⅰ
沖縄県海洋深層水研究所
海洋深層水の持続的な利用推進や産業振興等に寄与することを目的に、海洋深層水の複合利用の研究に取り組んでいる沖縄県海洋深層水研究所を訪問した。與那城 由尚 氏(沖縄県農林水産部 海洋深層水研究所 研究員)にアテンドいただきながら、海洋深層水の低水温性、富栄養性、清浄性の特徴を活かしたクルマエビやニジマス、海苔の商用化に向けた飼育場を視察した。

海洋深層水を複合利用した事例視察Ⅰ
サンゴ増殖研究所(一般社団法人水産土木建設技術センター)
親サンゴや幼生の飼育、採卵・交配等で高温に強いサンゴの研究開発を行うサンゴ増殖研究所を訪問した。古堅 凪紗 氏(同社 補助研究員)より、海洋深層水の低温性を活用し、水温に敏感なサンゴを飼育する方法等をご説明いただきながら、その生育現場を視察した。

一般社団法人くめじまDMO
令和3年1月の「久米島町ゼロカーボンシティ宣言」への対応と、地域の交通課題の解決に向け、新たな交通手段・サービス提供を目指し、EVカート実証事業に取り組んだ(一社)くめじまDMOを訪問した(開催場所:久米島町複合型防災・地域交流センター(ほんのもり))。前田 豊 氏(同社事務局長)より、実証事業の概要や目的、実証後の検証についてご説明をいただき、金城 清典 氏(同社代表理事補佐)を交え、意見交換を行った。

久米島ホタル館
更地から川を再興した地で、沖縄県指定天然記念物「クメジマボタル」を復活させ、保護観察を行っている久米島ホタル館を訪問した。現地では、佐藤 直美 氏(久米島ホタルの会 理事/沖縄県鳥獣保護管理員)より、久米島の歴史・文化・自然についてご説明をいただき、その後、佐藤 文保 氏(久米島ホタル館長/環境省希少野生動植物種保存推進員)にアテンドいただきながら、24年をかけて再興してきたビオトープ(生物生息空間)を視察した。

海洋深層水を複合利用した事例視察Ⅱ
久米島海洋深層水開発株式会社
汚染が少なく、ミラネル豊富な海洋深層水を活用した飲料水や塩の開発、海ぶどうの陸上養殖に取り組んでいる久米島海洋深層水開発㈱を訪問した。安里 一月 氏(同社代表取締役社長)より、海洋深層水の低温安定性と清浄性を活用した海ぶどうの養殖方法や商流等についてご説明をいただいた。

海洋深層水を複合利用した事例視察Ⅱ
株式会社ロート・F・沖縄
海洋深層水を活用した農業実証や、薬に頼らない社会の実現に向け、藻(スピルリナ)に着目し、研究・開発を行っている㈱ロート・F・沖縄を訪問した(場所:くめじまーるCafé)。中原 剣 氏(同社代表取締役)より、久米島で事業展開した経緯や海洋深層水を活用した冷熱水耕栽培や藻類農園、今後のビジョンについてご説明をいただいた後、冷熱農園を見学した。

海洋深層水を複合利用した事例視察Ⅱ
株式会社ジーオー・ファーム
昨今の環境変化で、牡蠣の生育に影響が及んでいる中、海洋深層水の持つ低温性・清浄性を活かした安定的な生産やウイルスフリー牡蠣(牡蠣による食あたりの原因となるウイルス・細菌がフリー)の研究開発に取り組んでいる㈱ジーオー・ファームを訪問した。鷲足 恭子 氏(同社取締役副社長)より、取り組み内容や今後のビジョンについてご説明をいただいた後、牡蠣養殖場を見学した。

最後に、島嶼地域の抱えるローカル課題に対する取り組み事例を視察でき、参加者からは各所の取り組みを高く評価する声が聞かれ、今後の産業振興にも参考となる大変有意義な視察となった。
今回の視察にあたり、視察受入先の皆様には多大なるご支援・ご協力をいただきました。
この場を借りて、厚く御礼申し上げます。

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