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令和8(2026)年度事業計画(案)
自 令和8(2026)年4月 1日
至 令和9(2027)年3月31日

Ⅰ 沖縄県を取り巻く社会・経済環境

2026年度の国内経済は、賃上げの継続や政府の物価高支援策が個人消費の押し上げ要因として期待される一方、金利上昇や米国の関税政策、日中関係、中東情勢など外部リスクは依然として大きく、円相場や原油価格の急激な変動が景気を下押しする可能性もあり、先行きの不確実性が一層高まっている。企業の設備投資についても人手不足を背景に省力化やデジタル関連投資を中心に内需が景気を支える期待があるものの、国際情勢の動向が企業の業績や投資判断にネガティブな影響を及ぼす懸念があり、内需の持続性に影を落とす可能性がある。

県内経済は、円安を背景にインバウンドは増加傾向にあり、入域観光客数は今後も順調に推移するものと予想される。また2026年秋には、首里城正殿の完成を控えており、基幹産業である観光産業を中心に、更なる景気の拡大に期待が高まる。一方、離島県である当県は、国内経済にも増して原油価格高騰の影響を受けやすく、エネルギー価格の高騰や物流コストの上昇、航空運賃の上昇等による観光客の旅行需要が弱まる懸念もあり、景気の先行きに不透明感が残る。また、依然として全国最下位の所得水準や子供の相対的貧困率、深刻な人手不足などの課題に加え、急激な物価高に賃金の伸びが追いつかないことによる実質賃金の低下なども課題となっている。さらには、人口が3年連続の減少となっており、とりわけ人口減少等によって地域社会の存続が危ぶまれる中小規模離島においては、深刻な状況に直面している。

このような中、2026年は、2022年度に始動した第6次沖縄振興計画(新・沖縄21世紀ビジョン基本計画)について、沖縄振興特別措置法施行後5年以内の検討・見直し規定に基づき、中間見直しが行われる節目の1年となる。中間見直しにあたっては、近年の社会情勢の急速な変化を捉えた「政策」を県がとりまとめ国に提言するとともに、前期実施計画の検証・新たな課題等を確認し、計画の改定が実施されることとなっている。振興計画後期においては、沖縄県が抱える、広大な米軍基地の集中による土地利用の制約や地理的特性に起因する交通・物流コストの高さおよび医療・教育など生活基盤の不安定さを解消するとともに、観光産業の高付加価値化はもとより、成長産業の創出による観光に過度に依存しない経済構造の構築などの取り組みが具現化することを期待したい。

この点に関しては、県内の経済界と関係自治体が中心となり進めている、沖縄の将来像を具体化するGW2050 PROJECTSの実現が、前述の沖縄の構造的な課題を解消しつつ、国際競争力があり、日本を牽引する沖縄の自立経済の実現に繋がることからから、同プロジェクトを構想から施策に移行させていくことが重要であると考える。

Ⅱ 活動基本方針

2025年度は例会を計画通り開催するとともに、各委員会では活動方針に則り、専門家や有識者による講演や意見交換、視察等を通じて、沖縄経済を取り巻く諸課題について考察を深めた。また、沖縄独自のノウハウや沖縄発のスタートアップならびに知的財産等を活用した稼ぐ力の強化に向けた調査研究に取り組むとともに、2025年3月にとりまとめた「OIST発展に向けた提言」で示した取り組みの実現のためOIST発展特別委員会を設置し、経済界とOISTの連携においてリーダーシップを発揮し、OISTの全国的な周知活動の強化に取り組んだ。さらに、台湾海峡情勢など、我が国の安全保障に影響を与える動きが顕在化する中、米国や台湾を視察した際に、経済視察に加えて、安全保障政策や日米同盟、沖縄の戦略的役割等の最新情勢にかかる調査研究に取り組んだ。また、新沖縄振興計画「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」の実現に向けて、県と協力した取り組みを進めた。

2026年度は、第6次沖縄振興計画の中間見直しが行われ、自立的な経済の構築に向けた極めて重要な1年であり、改めて当会の存在意義を発揮しつつ、国・県と連携し、沖縄経済の発展と持続可能な社会の実現に向けて取り組む。具体的には、基幹産業である観光産業の高付加価値化、DX推進やリスキリング等の人材育成による生産性向上、持続可能な観光モデルの構築に向けた取り組みをより積極的に行う。一方、観光産業を重要な柱としつつも、GW2050 PROJECTS 推進協議会と連携し、先端医療・航空・宇宙、ブルーエコノミーなど、沖縄の強みを生かした新産業育成、イノベーション・エコシステム構築にも取り組む。また、引き続き沖縄独自のノウハウや沖縄発のスタートアップならびに知的財産等を活用した稼ぐ力の強化に向けた調査研究に取り組むとともに、「OIST発展に向けた提言」の内容実現のため、OISTの全国的な周知活動の強化やOISTを核とした産学官連携のあり方についての調査研究に取り組む。さらに安全保障問題が経済活動に与える影響が懸念されるなか、2023年度にとりまとめた有事にかかる提言書のフォローアップにも取り組む。

また、社会保険制度の改正に加え、労働安全衛生法や女性活躍推進法をはじめとした各種法改正への適切な対応に向けた啓発にも取り組む。

1.スローガン

「沖縄の新たな価値創造へ、変革の第1歩」

2.取り組み事項(重点施策)

●GW2050 PROJECTS 推進協議会と連携し、構想の実現に向け取り組む。

●第6次沖縄振興計画「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」の内容を実現するための調査研究や産学官等の連携強化に向け行動する。

●前年度に引き続き、OIST発展に向けた提言や有事にかかる提言書のフォローアップに取り組む。

Ⅲ 活動方針

1.活動計画

(1)例会活動
原則として、毎月第2月曜日(1・4・8月を除く)に例会を開催する。
例会は政治・経済や経営・ビジネス分野を中心に、その時々の時代を見据えた沖縄の経済振興のあり方や企業経営の指針となるようなテーマで講演を企画する。

(2)研究委員会活動

以下の9つの委員会を設置する。
各委員会は、原則として副代表幹事を責任者とし、その下に委員長を置き、年度計画で定めた活動方針・テーマに基づき研究活動を行い、積極的に提言していく。

➀ 国際委員会
国際社会は地政学的緊張の高まりやサプライチェーン再編など大きな転換期にある。こうした環境下において、日本とアジアの結節点に位置する沖縄が持続可能で自立的な経済構造を構築するため、国際物流・航空関連産業をはじめとする臨空・臨港型産業の集積促進、MICE施設活用、グローバル人材の育成・活用に関する調査研究を行う。あわせて海外視察を通じ、先進事例や国際的な動向を把握し、県内産業の競争力強化につなげる。

② 地域・経済活性化委員会
沖縄経済の持続的成長に向け、GW2050 PROJECTSの経済的戦略を踏まえ、今後返還が見込まれる広大な軍用地における新たな産業創出やまちづくりの構想を見据え、県や市町村主導にとどまらず、民間のノウハウや活力を活かしたまちづくりが求められていることから、公民連携事例の調査研究を行う。あわせて、パンデミックや大規模災害を見据えた防災・減災の視点を取り入れた強靭な地域づくりについて検討を深める。さらに、OISTを核とした先端研究や台湾との連携、スタートアップの創出・育成を通じ、雇用創出と人手不足解消を見据えた地域経済活性化の可能性を探る。

③ 観光委員会
インバウンド需要の回復などにより沖縄観光は拡大を続けている一方、労働生産性の低さや人手不足などの課題が明確になっている。こうした情勢を踏まえ、本委員会では「量の回復から質の向上へ」の視点のもと、世界に選ばれる沖縄観光の確立に向け、沖縄の自然や文化・芸能など地域資源を活かした高付加価値観光コンテンツの創出、高度観光人材の育成、観光客の分散化、環境負荷の低減、観光DXの推進等について調査研究を行う。また、首里城正殿復興や世界遺産登録5周年といった節目も見据え、観光振興のあり方について考察するとともに、交通インフラのあり方や宿泊税・入域税等の観光財源の動向についても注視していく。

④ DX推進委員会
事業活動のあらゆる分野において、AIが不可欠となる時代を踏まえ、沖縄の持続的な経済成長に向け、DX推進による「稼ぐ力」の強化を主軸に調査研究を行う。従来の生成AIに加え、フィジカルAI等の最新の知見にも踏み込み、ドローン技術やオープンデータの活用、さらに観光DXによる沖縄の産業界の活性化の可能性を探る。一方で、デジタル社会の進展を見据えた「守る力」として、サイバーセキュリティの動向把握と危機意識の醸成を図り、沖縄経済全体のレジリエンス強化に資する知見を深める。

⑤ 環境・エネルギー委員会
昨今の燃料価格の変動や地政学リスクの高まりを踏まえ、エネルギー資源に乏しい我が国におけるエネルギーセキュリティの確保と企業のレジリエンス強化に資する調査研究を行う。あわせて、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの主力電源化や水素・アンモニア等の次世代エネルギーの動向を捉えるとともに、GXや環境政策を踏まえた脱炭素経営の実践的取り組みやカーボンクレジットの活用に関する理解を深める。さらに、AI・IоTを活用したエネルギーマネジメントや循環経済に加え、ネイチャーポジティブの視点から、自然資本と経済活動の連携による持続可能な地域経済のあり方について考察する。

⑥ 基地・安全保障委員会
近年、インド太平洋地域を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、台湾海峡情勢や南西地域を巡る動向など、我が国の安全保障に影響を与える動きが顕在化している。また、中東における紛争等を背景にエネルギー供給を巡る情勢も不安定化しており、我が国の経済活動を支えるシーレーンの安定確保の重要性も改めて認識されている。こうした情勢を踏まえ、当委員会では、安全保障政策や日米同盟の動向、沖縄の戦略的役割等について、講演・意見交換・視察等を通じて理解を深めるとともに、近年重要性が指摘される認知戦の観点も踏まえ、情報環境の変化が安全保障や地域社会に与える影響について調査研究を行う。
また、「有事の際の『事業継続』と『従業員避難』に関する提言」に基づき、一部会員企業が自ら策定している避難計画若しくはマニュアル等を先行事例として横展開すべく、セミナー開催などのフォローアップ活動を実施する。

⑦ 未来創造委員会
持続可能な地域経済の発展と新たな価値創造に向け、人財育成とイノベーション創出のあり方について調査研究を行う。特に、OIST等の研究成果や県内の知的資源を産業化につなげる人財の育成、リスキリングの推進、産学官連携による研究開発など、沖縄におけるイノベーション創出環境の形成について考察する。また、アジアに近接する地理的特性を活かし、国際的素養や課題解決力を備えたグローバル人材の育成、沖縄の歴史・文化への理解を踏まえて世界に発信できる人材の育成について理解を深めるとともに、多様な教育機会や企業が求める人材と学校教育のあり方についても知見を深めていく。

⑧ SDGs推進委員会
2025年度に引き続き、こどもの貧困やシングルマザー支援を主軸とし、貧困解消に向けた具体的アクションに重点を置く。沖縄県の施策と足並みを揃えつつ、就労支援や教育格差、子どもの居場所等の生活分野における支援体制の構築を探る。特に、業務の切り出しによる就労機会の創出や多分野協働の枠組み、寄付制度の活用等について、有識者や支援事業者から先進事例や仕組みを学び、会員が参画可能な方策の示唆を得る。また、視察や意見交換を通じて知見を深め、弊会会員がどのように関わり、アクションにつなげていくかを教授する。

⑨ OIST発展特別委員会
2025年3月の「OIST発展に向けた提言」の実行段階として、提言の実現性を高める取り組みを一層強化する。具体的には、2025年度に引き続き提言内容の周知活動を継続し、関係機関や経済界における理解促進と機運醸成を図るとともに、資金支援体制の構築など、提言事項の具体化・実装に向けた検討を深化させる。また、GW2050 PROJECTS 推進協議会との連携を一層強化し、OISTを核とした産学官連携のあり方について協議を進め、持続的なイノベーション創出と地域経済への波及を目指す。

(3)会員親睦活動
会員の親睦・交流を図るため、親睦会、ゴルフ大会、新春懇談会等を開催する。

(4)交流活動
九州経済同友会および他地域経済同友会との交流を図る。

(5)入会促進活動
会の活性化を図り活動をさらに発展させるため、なお一層会員の増強に努める。

(6)その他活動
①当会の活動に沿った県内の経済団体や行政機関等との連携・協力に努める。
②当会の諸活動や会員異動等の報告と例会における講演要旨の情報提供のため、季刊誌を発行する(年4回)。
③会員に対するサービスの一環として、当会以外の団体が開催する講演、シンポジウム等の会員への情報提供を行う。
④当会ホームページへの視察報告書等掲載を通して、会員への委員会活動内容・新着情報提供に努める。

2.会務執行組織

(1)代表幹事会
必要に応じ随時開催し、当会運営に関する重要事項について審議する。

(2)常任幹事会
例会開催に併せ、原則として毎月第2月曜日(1・4・8月を除く)に開催し、当会運営に関する事項について審議・報告を行う。

(3)幹事会
幹事会の申し合わせ、又は代表幹事の必要に応じ随時開催し、当会運営に関する重要事項について審議する。

(4)総務企画委員会
各委員会の委員長で構成し、当会運営に関する重要事項について協議し、必要に応じ代表幹事会、常任幹事会に意見具申する。

(5)組織拡大・交流委員会
会員拡大と組織の活動強化、さらには会員間・他経済同友会等との親睦交流を図る。