新着情報

NEWS

TOP > 新着情報 > 岩手視察 概要報告

岩手視察 概要報告

1.目的および概要:
地域・経済活性化委員会と観光委員会の共催により、岩手視察を実施した。
本視察では、国の補助金や行政依存に頼ることなく、公民連携により地域価値を高め、持続可能なまちづくりを実現している「オガールプロジェクト」を実地で学ぶとともに、GW2050 PROJECTS等を見据えた地域活性化の可能性について考察し、沖縄における地域活性化や観光振興、持続可能な地域づくりに資する知見を得ることを目的とした。

2.期間:2026年7月1日(水)~3日(金)

3.参加者13名

NO当会役職氏名会社名役職
副代表幹事新城 一史㈱沖縄海邦銀行代表取締役頭取
地域・経済活性化委員長渡久地 卓㈱りゅうぎん総合研究所代表取締役社長
観光委員長豊田 沢㈱サンエー代表取締役社長
組織拡大・交流委員長中島 秀昭三菱商事㈱ 那覇支店支店長
常任幹事島袋 清人㈱沖電工代表取締役社長
常任幹事山根 錦司住友商事九州㈱沖縄支店長
正会員兼村 光フォーシーズ㈱取締役CSEO
正会員喜納 健日本トランスオーシャン航空㈱取締役
正会員上地 知朗㈱海邦総研代表取締役社長
10正会員鈴木 康友㈱ジーセットメディカル代表取締役社長
11正会員高江洲 守㈱サン・エージェンシー代表取締役社長
12事務局原 和也沖縄経済同友会事務局次長
13事務局松島 寛大沖縄経済同友会事務局研究員

4.視察行程

5.視察先

①紫波町役場跡地開発視察

紫波町が保有する公共施設や遊休地の利活用事例として、㈱オガール 代表取締役社長の岡崎正信氏と紫波町 企画総務部 地域づくり課 地域共創係 係長の高橋竜介氏にアテンドいただき、紫波運動公園(ワイズマンスポーツベース)、にわとり堂(紫波町旧紫波郡役所)、はじまりの学校(旧水分小学校)を訪問した。

(i)紫波運動公園(ワイズマンスポーツベース紫波)
公共施設の老朽化対策と民間資金の導入事例として、紫波運動公園内の「ワイズマンスポーツベース紫波」を視察。築40年以上が経過した陸上競技場の観客スタンドを、民間主導の資金調達と国の交付金の活用により、地元サッカークラブ「いわてグルージャ盛岡」のクラブハウスを兼ねた複合スポーツ施設へ再生。財源としては「企業版ふるさと納税」や国の補助金を戦略的に組み合わせることで、同町の支出を最小限に抑えつつ、公共機能の増進と賑わい創出を両立させている施設である。行政が民間からの提案を積極的に受け止め、制度を機動的に適合させる柔軟な対応が、民間投資の誘発につながる重要な要素であることを学んだ。また、本事例は、設計と施工を分離して発注するのではなく、一括して発注することで、限られた予算の範囲内で効率的に事業を推進した事例であることも大きな特徴であった。

(ii)にわとり堂(紫波町旧紫波郡役所)
歴史的建造物の保存と利活用を学ぶため、120年前の建物を改修した「にわとり堂」を視察。岩手県指定文化財である旧郡役所を改修。特筆すべきは、設計段階から運営者(指定管理者)を参画させ、経営的な視点を取り入れたデザインを行っている。現在ではコーヒースタンドや書店、コミュニティスペースとして活用されており、公費に頼らず文化財を維持・継承しつつ、新たな地域ビジネスを創出するモデルとして非常に示唆に富む内容であった。

(iii)はじまりの学校(旧水分小学校)
閉校した小学校の利活用事例として、醸造所を核とした「はじまりの学校」を視察。少子高齢化により統廃合された校舎を、「クラフトサケ」や「サイダー(シードル)」の醸造所を中心に酒づくりを通じた関係人口創出の拠点として再定義している。既存の教室を段階的に改修することで初期投資を抑えつつ、企業研修の受け入れや作り手の育成など、酒を軸とした事業を展開している。廃校を単なる施設として維持するのではなく、南部杜氏発祥の地という地域の歴史的・文化的背景を活かし、新たな産業のインキュベーション施設へと転換する視点は、今後の公共施設マネジメントを進める上で重要な視点であることを学んだ。

②紫波町役場 表敬訪問・意見交換会

紫波町役場を訪問し、鎌田千市町長、高橋堅副町長への表敬訪問を行うとともに、岡崎正信氏を交えた意見交換を実施した。意見交換では、紫波中央駅前の町有地活用について、財政的な制約を踏まえ、公共施設整備を中心とした従来の計画を見直し、行政と民間が役割とリスクを分担する公民連携へ転換した経緯について説明を受けた。行政は事業主体となるのではなく、制度や規制面を整理し、民間事業者が事業を展開しやすい環境整備に徹したことに加え、担当職員を長期間配置することで民間との信頼関係を構築し、継続的に事業を推進したこと、さらに町長直轄の組織体制による機動的な意思決定が、プロジェクトの成功を支える重要な要因であったとの説明があった。また、住民との対話を重ねながら合意形成を図るとともに、景観やデザインにも配慮した質の高い公共空間の整備を進めた結果、オガールプロジェクトの推進により駅前の未利用地は交流拠点へと生まれ変わり、地価の上昇や税収の増加など、地域経済への波及効果も生み出していることを学んだ。「公共施設を整備する」ことを目的とするのではなく、「地域価値を高め、稼ぐまちをつくる」という自治体経営の考え方は大変示唆に富むものであった。また、公民連携を推進するためには、行政が組織や制度上の課題を整理し、民間との長期的な信頼関係を構築することが重要であることを再認識した。本意見交換は、沖縄県における地域活性化や観光振興を進める上でも、多くの示唆を得る有意義な機会となった。


③まちづくりシンポジウム2026・オガールまつり

紫波町オガールエリアで開催された「まちづくりシンポジウム2026」に参加した。本シンポジウムでは、「スポーツを『コンテンツ』から『コンテキスト』へ。」をテーマに、自治体や民間事業者の登壇者によるパネルディスカッションが行われた。登壇者からは、エスコンフィールドHOKKAIDO整備における行政の規制緩和や、野沢温泉村における伝統文化とスポーツを生かしたコミュニティ維持の取り組みについて説明いただき、地域資源を活用したまちづくりや官民連携のあり方について理解を深めた。また、「現状維持は衰退である」との危機感のもと、既存の枠組みにとらわれず「破壊と創造」により新たな価値を創出するリーダーシップの重要性が共通して示された。各地域の先進事例を通じ、行政と民間がそれぞれの役割とリスクを明確にした上で、地域資源を最大限に活用する「経営」の視点が地域づくりに不可欠であることを再認識した。
また、シンポジウム終了後には、オガール広場において登壇者をはじめ、参加した行政・自治体関係者とのネットワーキングを行い、各地域におけるまちづくりや公民連携の取り組みについて意見交換を行うなど、相互の知見を共有する有意義な機会となった。

<登壇者>

  • 小川太郎 氏(㈱ファイターズスポーツ&エンターテイメント開発本部 エリア開発部 部長)
  • 川村裕樹 氏(北海道北広島市 副市長)
  • 上野雄大 氏(野沢温泉村 村長)
  • 河野健児 氏(㈱野沢温泉企画 代表取締役)
  • 鎌田千市 氏(紫波町長)
  • 岡崎正信 氏(㈱オガール 代表取締役)
  • 松田裕雄 氏(モデレーター:㈱Waisportsジャパン 代表取締役)

④ノウル・オガールプロジェクト視察

(i)ノウルプロジェクト
小学校跡地を活用した複合施設「ノウル」を視察した。本施設は、町と民間事業者が連携し、廃校となった校舎や周辺環境を活かしながら、集合住宅、レストラン、セレクトショップ、ホテル、多目的スペース等を整備したものであり、地域資源を活用した新たな交流・定住拠点として運営されている。施設整備に当たっては、地域住民が大切にしてきた校舎や果樹園の風景を継承することを重視し、建物の配置やデザインを工夫することで、地域の歴史や景観との調和を図っている。また、住宅には高い断熱・気密性能を備えたエコハウスを採用し、市場相場を上回る家賃設定でありながら高い入居率を維持していることから、質の高い住環境が新たな付加価値を生み出していることについて説明いただいた。本視察を通じ、廃校を単に再利用するのではなく、地域の歴史や景観、農業などの地域資源を活かし、新たな価値を創出する拠点として再生することの重要性を認識した。また、民間の創意工夫と行政の適切な支援、さらには地域住民との丁寧な合意形成を組み合わせることが、持続可能な地域づくりにつながることを学ぶ有意義な視察となった。

(ii)オガールプロジェクト
紫波中央駅前の町有地活用事業「オガールプロジェクト」の全容と、それを支える行政組織の在り方を学ぶため訪問。10.7ヘクタールに及ぶ長期間未利用となっていた町有地について、143億円の公費投入計画から公民連携による実現可能な計画へとシフトさせた経緯について説明いただいた。役場内では、専門チームが18年間にわたり異動せずプロジェクトを主導し、行政側が制度や組織の壁を取り払う役割に徹する体制を確認した。図書館を核とした複合施設「オガールプラザ」や、民間資金で建設されたバレーボール専用アリーナを視察し、単なる箱モノ整備ではなく、不動産価値の向上と税収増を目的とした「稼ぐまちづくり」の実践は、地方自治体の経営戦略として極めて重要であると認識した。

⑤盛岡大通商店街

盛岡大通商店街では、商店街を散策しながら、中心市街地のにぎわい創出や商業集積の状況について視察を行った。また、国指定重要文化財である岩手銀行赤レンガ館を見学し、歴史的建造物を保存・活用しながら中心市街地の魅力向上や観光資源として活用している取り組みを確認した。商店街では、飲食店や小売店、サービス業など多様な店舗が立地し、地域住民の日常利用に加え、観光客の回遊も見受けられた。また、歴史的建造物や地域資源を活かしたまちづくりは、商業振興だけでなく、交流人口の拡大や地域の魅力向上にも寄与していることがうかがえた。地域固有の歴史や文化を活かしたまちづくりや、商店街のにぎわい創出に向けた取り組みを検討するうえで参考となる視察であった。


今回の視察では、行政、民間事業者、地域住民が明確なビジョンを共有し、それぞれの強みを生かしながら持続可能な地域づくりを推進している点を学べた。また、地域課題を新たな価値創出の機会と捉え、挑戦を積み重ねる姿勢は、今後の沖縄における地域活性化を考える上でも多くの示唆を得ることができた。
沖縄県内における地域課題の解決や持続可能な地域経済の発展に向けた取り組みとして大いに参考となるものである。

最後に、本視察にあたりご協力いただいた関係者の皆様に、厚く御礼申し上げる。

新着一覧に戻る