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アメリカ視察(シアトル、ポートランド、ラスベガス、グランド・キャニオン)

アメリカ視察(シアトル、ポートランド、ラスベガス、グランド・キャニオン)

【平成28年11月27日(日) ~ 12月3日(土)】

主催:国際委員会

主催:地域・経済活性化委員会、観光委員会

   環境・農業・エネルギー委員会

1

【セーフコフィールドにて】

視察の目的

沖縄経済同友会では、国際委員会を中心に、海外ビジネスの可能性についての調査・研究を目的として海外視察を行っております。これまでは「飛び込め!Dive to ASIA」としてアジア各国を訪問して参りましたが、今年度は、アジアを飛び出し、アメリカ視察を行いました。

那覇空港への航空機整備基地設立により、次の基幹産業として期待されている航空機ビジネスについての調査として、シアトルにある「ボーイング社」及び、国産旅客機として注目されている「MRJ」の試験飛行地を視察した他、全米で一番住みたい街として注目されている「ポートランド」を訪問し、都市開発や公共交通サービスについて学びました。また、世界的なMICE先進地である「ラスベガス」では、巨大な施設を見学し、担当者よりMICEビジネスについてご説明頂きました。「グランド・キャニオン国立公園」では、世界自然遺産の活用についての見識を深めるため、国立公園の職員より、運営方法等について御講演頂きました。

 

米国視察名簿

 

日程表

 

【シアトル】

<視察①:ボーイング社>

対応者:

【The Boeing Company】

Sr.Sales Director       Mr. Christopher J. Flint

Sales Program Manager    Mr. David Wettstein

【Sojitz Corporation of America】

Director                 山崎 和隆 氏

 

ボーイング1  ボーイング2

(写真左:ギネスブックにも載る、世界最大の工場であるエバレット工場)

(写真右:工場に隣接する空港には、世界中のエアライン会社の飛行機が駐機している)

 

工場見学の前に、事務所内で概要についてのご説明を頂きました。その後、今回は特別に、通常は入れない工場内部を専用カートで視察させて頂きました。

○ボーイング社は、ライト兄弟が有人飛行を初成功させた13年後の1916年に創立し、今年は100周年に当たります。

○世界150ヶ国に顧客がおり、売上は10兆円超。全米50州及び世界65ヶ国で16万人以上の従業員を雇用し、2万社以上のサプライヤーパートナーと契約しています。

○航空機の売上は約70%が外国向けで、全世界で使用されているジェット機の約60%がボーイング製です。

○エバレット工場(主に747、767、777、787を製造)の他に、シアトル南部にレントン工場(主に737を製造)、サウスカロライナ州にチャールストン工場(主に787を製造)があります。チャールストンでは、部品も製造しており、ドリームリフターでこちらまで輸送しています。

○エバレット工場は、1968年竣工。高さ35m、横幅1km、縦500m、周囲3.5kmあり、容量は世界最大です。工場内には43,000名が働いており、タリーズ6店舗の他、カフェ10か所、病院、クリーニング店、スポーツジム、消防署、幼稚園等もあるとのことです。(世界で最も忙しいタリーズは工場内の店舗とのこと。)

○航空機が完成するまでの工程としては、工場で最終の組立が終了すると、まずはペイント(塗装)が施されます。 次に、工場に隣接する飛行場にて、ボーイングの職員により機能試験が行われ、ボーイングのパイロットによる飛行試験が行われます。その後、カスタマーによる機能試験、飛行試験が行われ、FAA(連邦航空局)による機体及び書類の確認後、問題が無ければ「輸出耐空証明書」が発行されます。そして、ボーイングとの調印手続きにより、ここで初めてカスタマーへ所有権が移転します。その後、日本の耐空証明書が発行され、日本へ空輸されます。

○ロールアウト(最終組み立てが終了し、工場から出ること)から所有権移転までは、通常約1ヵ月掛かる。FAAの承認自体は約6時間程度で終了します。こちらは、実際には検査資格を付与されたボーイングの職員がFAAの検査をします。しかし、初号機等は、もっと時間がかかり、FAAの職員もいらっしゃるようです。

○こちらの工場内で製造に係る時間は、機材によって異なります。例えば、747機の場合は、こちらの工場内で配線や配管等、全てを組み立てるため100日程掛かるが、787機の場合は、ほぼ完成された状態でパーツが届くため、約1ヵ月でロールアウトされます。

○生産管理について、17年前より「トヨタ方式」を取り入れました。また、ロボットも活用し、製造時間の短縮につながっています。例えば、777機については、以前は約70日かかっていましたが、今では約46日になっています。

○工場は24時間稼働しており、3シフト制で約4万人のスタッフが働いています。

○今年1年で750機の旅客機が製造されており、その殆どが737型機です。受注残が4,000機あり、現在、月産42機のところを来年には47機まで増加させ、最終的には57機を目指しています。今年で9,000機目の製造になります。

ボーイング4

(エバレット工場内にて)

 

 

<視察②:MRJ飛行試験地(グラント郡国際空港/ワシントン州)>

対応者:

【米国三菱航空機株式会社】

Executive Vice President   岩佐 一志 氏

Vice President        碇山 和秀 氏

【三菱航空機株式会社】

執行役員/カスタマーサポート本部長    三輪 明義 氏

MRJ1   MRJ3

○YS-11以降、約50年ぶりの国産旅客機となるMRJ(Mitsubishi Regional Jet)。

TC(型式証明)取得に向け飛行試験が行われている、モーゼスレイクフライトテストセンターを視察しました。テストセンターは、シアトルから東に約3時間内陸に入った、モーゼスレイク市のグラント郡国際空港にあり、長いバスの旅を終えると、夕陽に照らされた、2機の美しい飛行機が出迎えてくれました。

○こちらでは、ハンガー(格納庫)や、テストセンターを視察させて頂きました。

MRJ4

 ○空港のある場所は、非常に乾燥した地域にあり、雨が非常に少ないところです。グラント郡国際空港には、4,100mの世界有数の滑走路があります。また、斜め方向に、横風用に3,000m滑走路、更に、1,000級の滑走路が3本あり、合計で5本の滑走路を有しています。

○現在、定期便等の商業運航が無く、好きな時に飛行することが出来るため、飛行試験を行うには、世界でも有数の空港です。また、24時間空港なので夜間の飛行も可能ですが、今は、昼に飛行し、夜間は点検を行っています。土日もなしで、24時間体制で作業しているそうです。

○2016年9月28日に試験機1号機、更に、11月18日に4号機が到着し、今は、2機体制でテストをしています。将来的には、4機体制になります。

○新しく設置されたというハンガーは、横幅約80m、縦約85m。最大で4機収容出来るようになっています。

○センターの隣には、エンジニアやオペレーターの事務所として、プレハブ(トレーラーハウス)が新しく設置されています。今は、150人程で作業していますが、最盛期には、日本から約250人、アメリカのパートナー企業から約150人が参加することになっています。

○フライトテストセンターには、フライトシミュレーターや計測器が並ぶテレメータールーム、ブリーフィングルームがあります。

○テレメータールームは、同じ部屋が2部屋用意されており、同時に2機の飛行状況をモニターすることが出来るようになっています。各系統のエンジニアが機体から送られてくる信号(テレメーターデータ)を確認し、飛行の安全性等をチェックします。試験機には、特別な計器類が搭載されており、多岐にわたる項目を確認出来るようになっています。

○飛行試験は、回を重ねるごとに、飛べる条件(速度や高度)を広げて行きます。ボーイング等は、今までのノウハウもそうですが、試験機をたくさん作って飛ばすので、色々な試験を早くこなすことが出来るそうです。

○今、こちらで行われている試験は、TC試験が開始出来るようになるための、カンパニー試験になります。MRJはJCAB(国交省航空局)やFAA(米国連邦航空局)のTC取得を目指しています。まだTC試験の前ですが、その準備がキチンと進んでいるかを確認するために、既にJCABの職員もこちらへ来ているとのことです。

○TC取得までには、何千時間の飛行が必要だと言われていますが、実際は、技術要求スペックに含まれる項目をどれだけこなせるかになります。また、クリアしないといけない項目について、その証明する方法についても、ノウハウを要するとのことです。

○飛行機造りにチャレンジした理由を尋ねると、大きな理由は2つあり、まず1つは、純粋に、日本製の飛行機を造りたかった。日本製の旅客機を飛ばしたいという思いが、その中心にあるそうです。また、今は、ボーイングへ主翼等の部品を納めていますが、日本の航空機産業の将来を考えた場合、そのような労働集約型の部品産業は、人件費の安い新興国の台頭により厳しくなると見ており、飛行機を1機取り纏められる知識・能力を身に付けていかないと、将来的な航空機産業の発展は難しいと考えているとのことです。50年のブランクは思ったよりも大きく、苦労も多いのですが、ここまできているので、何とか仕上げたいと仰っていました。

MRJ7

 *ボーイング社及びMRJの視察については、全日本空輸様にも多大なご配慮を賜りました。この場をお借りして、御礼申し上げます。

 

 

【ポートランド】

ポートランドは、「全米で一番住みたい街」として有名ですが、他にも「全米で最も環境にやさしい都市」、「全米で最も自転車通勤に適した都市」、「知的労働者に人気のある都市」、「健康的に暮らせる街」「出産に適した街」等々にも選ばれており、とても人気のある地域です。また、自動車に頼らない、歩いて回れる都市設計をしており、バスやLRT等の公共交通政策にも注目されています。ポートランドの都市開発について見識を深める目的で、「ポートランド市開発局」、「PLACE studio」、「TriMet」を訪問しました。

ポートランド1   ポートランド7

ポートランド5   ポートランド2

 

<視察③:ポートランド市開発局>

対応者:

【Portland Development Commission(ポートランド市開発局)】

International Business Development Officer   Mr. Michael Gurton

ポートランド市の開発に関わっている、PDC:ポートランド市開発局を訪ね、都市開発についてレクチャーを受けました。

ポートランド3   ポートランド4

○ポートランド市開発局では、経済開発及び都市再生、都市開発を行っています。

○ポートランドは、「生活の質」、「経済成長」、「持続可能性」の面で有名です。

○移住してくる方が、非常に多くなってきています。これは、生活の質がよくて、仕事があるからです。移住してくる方が多く、2030年までには、今の50%以上の人口増加を見込んでいます。

○オフィスの賃料が安いため、カリフォルニアやシアトルから多くの企業が移住して来ています。また、アパート賃料が高い地域から移住してくる有能な人も多く、そのような人材を求めて、移転してくる企業もあります。

○今ではとても素晴らしい街になりましたが、40年前は全く違っていました。ひどい大気汚染や水質汚染が起きていました。1970年代に入り、政府は環境汚染への苦情に耳を傾け、環境改善に関する画期的な対策を取り入れました。

○高速道路の建設に反対し、桜のある美しい公園を作りました。また、都市の境界をはっきりさせ、無用な都市開発を抑止する政策を打ち立てました。政策として、市街地の人口密度を高くするようにしています。これは、今後、人口が増えようとも変わりません。ですから、より密度を高くしていくことになります。

○ポートランドでは、炭素排出量が減少しています。しかし、GDPは増加しています。環境保護と、経済成長を両立しているのが重要なポイントです。

 

<視察④:PLACE studio、TriMet>

対応者:

【PLACE studio】

Project Designer    Mr. Dylan Morgan

【TriMet】

Agency Architect   Mr. Bob Hastings

ポートランド9   ポートランド11

(PLACEのDylan氏(右から2人目の男性))                        (TriMetのBob氏)

 

<PLACEによる説明要旨>

ポートランド10

○PLACEは、6年前に創設。景観デザインと都市開発の会社です。地域で働く、4名のパートナーと立ち上げました。デザイン、アカデミック、アートの3つをコンセプトに活動しています。

○単独のビルのプロジェクトから、景観を含めたデザイン、地区全体の概念の設計まで、色々なスケールで仕事をしています。

○ロイド地区で、ポートランド初のエコリゾートのプロジェクトを行っています。ここは、オフィス街と、ショッピングを中心とした商店街として1960年代に開発され、米国で一番大きなモールである、ロイドセンターがあります。

○さらに多様性を持たせるため、新しい住民を招き、24時間都市として、いつでも人がいる街を作っています。また、屋内駐輪場が整備され、皆が自転車で、その地域まで行けるようになります。

○水の利用が景観デザインのテーマになっています。パブリックスペースを設け、公共の催しが出来るようになっており、コンベンションセンターやロイドセンターと繋がっていきます。デザイン関係の担当者や、市、ディベロッパー等のすべての人々の協力によって、エコ地域として、総合的、包括的な姿になっていくことを目指しています。

 

<TriMetによる説明要旨>

ポートランド12

○産業革命時代には、材木等の資材が港から輸出されていました。初期の頃は、無限に資源があるかのごとく、どんどん木を切って輸出していました。また、アメリカで2番目に水力発電に取り組んでいた地域で、電力が多く供給されていました。ですから、初期の頃は、材木や電力がポートランド周辺の経済繁栄に繋がっていたことが言えます。ですが、そのような開発をしたことによって、水害等が発生していました。

○当時のアメリカ人は、どうやって自然をコントロールして、メリットだけを得るかを考えていました。化石燃料の消費も広がり、フリーウェイの拡充によって、近隣の生活が阻害されていました。それが一つのターニングポイントです。

○政治やコミュニティのリーダーが、新しい処置として、エリアをどのように再開発するかを考え、フリーウェイの建設資金を転用して開発をしました。1960年代は、公害で空気も非常に汚れており、車社会をいかに脱却して、出来るだけ公害を出さないようにするかに取組みました。経済発展だけではなく、環境を大切にした社会を成り立たせるかを考えました。

○ポートランドは全米の他の都市と違って、都市の境界線を引いて、都市開発を抑制しました。よりコンパクトな街づくりをする必要があり、都市限界境界線の向こうには自然がしっかりと残っています。

○一番大事なのは、そこに住んでいる人たちの同意であり、その方々が本当に望んで、必要だと思えるかどうかです。ですから、何回も住民との話し合いを持っています。市民の方より、都市開発やデザインに対する意見を聞いています。

○市民の参加は時間もコストもかかりますが、市民の声を無視して進めると、後から大きな問題になってしまいます。そうであれば、最初から市民の方々に参加してもらい、しっかり声を聴いて、それを反映した形でシステムを作るべきです。プロとして自信はありますが、そこは謙虚に市民の声を聴いて取り入れます。そうすることによって、もっと良いシステムになるように考えています。

○バス、ライトレール、車、歩行者、自転車等、このような交通方法で道路を共有しているのは、アメリカではあまり例がありませn。しかし、これが一番安全な方法です。これは、統計で証明出来ます。我々は異なった文化を繋げる仕事をしています。

○運賃を低くすることは公共的に重要です。高齢者の方の運賃は半額にしています。ストリートカーは市が所有していますが、バスとライトレールはTriMetが所有しています。しかし、双方は協力体制を取っています。一つのチケットでどれでも乗ることが出来ます。

○最初は、ライトレールが何かも分からない状態からのスタートでした。長い期間をかけて、アイデアを共存させていきました。地下鉄を作る程の予算は無い。そこまで広くはないので、高速である必要もない。しかし、自分達の家やオフィスの前にあることが重要であった。資金が無いときは、クリエイティブな方法を考える必要がある。そのアイデアを理解させるためには、時間をかけて説得する必要がありました。

ポートランド6

 (ストリートカーの停留所にて)

 

 

【ラスベガス】

lv1   lv2

(写真左:空港に着くと、早速スロットマシンが並んでいます。)

(写真右:空港から10分もすると、目の前には巨大なホテル群が見えてきます。)

lv3

 MICE先進地のラスベガスでは、世界でも有数の展示会場を有する、ラスベガスコンベンションセンターにて、ラスベガス観光局の方より、ラスベガス全体のMICE戦略についての説明を受けました。その後、Ariaホテルにて、MGMグループの方より、民間目線でのMICE戦略について、ご説明頂きました。

<視察⑤:ラスベガス観光局>

対応者:

【Las Vegas convention And Visitors Authority(ラスベガス観光局)】

Vice President   Mr. Hugh Sinnock

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○ラスベガスは、過去20年間を振り返ると、大きな変貌を遂げています。5つ星ホテルはカジノから高級レストランやエンターテイメントにシフトしています。我々のミッションは、ラスベガスをビジネス面でもレジャー面でも、世界中で最も魅力的な場所にすることです。

○1959年当時、ラスベガスに、どのように人を集めるかを考えた際に、展示会や会議等を開催する形でスタートしました。当時は、アメリカにもコンベンションセンターは多くなく、シカゴに1か所あるだけでした。最初の大きな展示会は、こちらで行われました。航空関係のもので、当時としては、非常に珍しいものでした。

○私共は、準政府機関の様なもので、正確にはネバダ州政府に属しています。しかし、実際の運営は民間企業の様な活動をしています。ラスベガスが中心ですが、カリフォルニア、アリゾナを含め、非常に広域を管轄しています。ボードメンバーが14名おり、8名は政府側ですが、6名は民間企業のトップの方々になります。

○ラスベガスのホテル客室数は、149,071室あります。更に、空港から10分の距離にあります。これは、我々の大きな強みです。ラスベガスでホテルに宿泊すると、12%のルームタックスを取られます。そのルームタックスの約30%を我々の運営資金としています。また、併せてコンベンションセンターのスペース賃貸料で運営されています。トータルでは2億5千万ドルほどになります。

○昨年は、4,200万人の入域客がありました。10月までの数字を見ると、ホテル稼働率は90.4%を超えています。14万室を超えるところで、90%を超えるのは、非常に大きな偉業です。

○ラスベガスに来るお客の中で、コンベンションに来る方は15%です。ショッピングや観光等が85%です。昨年は、22,000のミーティングをラスベガスで行われています。多くの方々は、ラスベガスは遊ぶ場所だと、娯楽の街だと思われていると思いますが、実は、ビジネスを中心としてハブの位置付けを持っています。

○こちらの施設は320万sqf(約30万㎡)ありますが、隣接している土地を購入し、今は、一時的に駐車場にしています。将来的にはコンベンションセンターの一部として使用します。まだまだスペースが足りない状態です。拡張後は、420万sqf(約39万㎡)になります。

○上海に400万sqf(約37万㎡)の展示場が6月にオープンしました。こちらで行われている展示会の一部が流れています。

○展示会を開催するためには、施設が必要になります。中国では、施設をたくさん作って、コンベンションの誘致を図っております。しかし、上手くいっていない面もあるようです。中国は国が大き過ぎて難しいということもあるようです。上海で過去2年間CESを開催したのですが、3万5千人しか集まっていません。非常に小さい。展示会の数も限られております。

○こちらには、ワールドトレードセンターのロゴを掲げております。この組織は、ニューヨークに本部があります。加盟している企業は世界に700社あります。来年、ここの総会をラスベガスで行う予定となっています。総会が行われるということも、ラスベガスというブランドを前に出していくために大切なことであると考えています。

lv6

(説明頂いたHugh氏、左から2人目)

 

lv7

  (ラスベガスコンベンションセンターにて)

 

<視察⑥MGMリゾートインターナショナル>

対応者:

【MGM Resorts International】

エグゼクティブディレクター  川上 次郎 氏

MGMが所有するホテルの一つである。「Aria Resort&Casino」を訪問した。MGMの川上氏へIRやMICE事業についてのご説明を伺った後、ホテル内の施設を視察させて頂きました。

MGM1

○我々の会社はフォーチュン500に入っており、リゾート地を19箇所持っています。うち10か所がラスベガスです。90億ドルの収益を上げており、72,000人以上の従業員を雇用しています。エンターテイメントの仕事だけではなく、我々がラスベガスにおいての最大のMICE事業者になります。

○ラスベガスには、5つのシルクドソレイユのショーを持っています。他にも、レディーガガのショーやパッキャオのボクシング、フロイト等の著名なショーを開催しています。また、T-mobile(2万席)も含めて3つのアリーナを所有しています。

○ラスベガスで30万㎡のスペースを保有しており、Ariaには、3万㎡の、快適でエコな施設を持っています。我々は、ラスベガスに5万室の客室を所有しており、これはラスベガス全体の客室の1/3に相当します。他にも、高級レストランやナイトクラブ、高級ショッピングセンターもあります。世界を代表するようなアトラクションもあり、ベラージオには有名な噴水ショーがあります。そこは1日当たり2万人が訪れます。ワールドクラスのゴルフコースを5つ持っています。タイガーウッズ等の著名なゴルファーもここのメンバーです。

○旧来のホテル事業は、客室中心に構築されています。そして、食事やスパ、時々MICEです。IRビジネスモデルは、これをもっと広げたものになります。カジノも含みますし、ショッピング、エンターテイメント、ゴルフ、MICE。また、ギャラリーやミュージアムを含むこともあります。ラスベガスでは、70%はカジノ以外の収入になります。カジノの収益は全体の30%です。

○IRの観点から見ると、2つの要素があります。コア要素としては、カジノ、飲食事業、宿泊、MICE、エンターテイメント等があり、これは、ホテル側が運営しています。非コア部分については、エンターテイメント(アリーナ)、小売、居住施設(レジデント)、オフィススペース等で、第3者によって運営されます。そこに第3者が運営するホテルを含むこともあります。

○カジノは非常に大きな経済的要素を持っていることは間違いありません。ですから、カジノは必要かと聞かれると、非常に答えにくい。簡単にハイ、イイエとは答えにくい。カジノは投資コストの観点から見ると非常に小さい。椅子やテーブル等はそれほど高くありません。大きなキャッシュフローを生み出しますし、リターン率が高い。それ以外の部分については、投資コストが非常に高い。例えば、ホテル、コンベンションスペース、飲食事業、ショッピングモール等は、投資全体の大部分を占めますが、リターン率は小さい。

○MICEビジネスについて、我々にとっても非常に重要な部分です。MGMグループでラスベガスのコンベンションスペースの半分を運営しています。ラスベガスはコンベンションでは全米一です。コンベンションビジネスは何百もの専門家(プロフェッショナルスタッフ)を使います。60名のミーティング専門のプランナー、95名のセールスマネージャーがいます。他の地域にも7名のマネージャーがおり、フルサービスのイベントプランニング部署もあります。ラスベガス観光局とも緊密な関係を構築しています。多くの専門家の組合にもメンバーとして入っています。

○コンベンションは、非常に重要なビジネスです。なぜなら、日曜から木曜までのビジネスになるからです。金曜から日曜は遊びに来る方の曜日です。ですから、我々にとっては両方を補完し合うという意味で非常に重要です。

○セールスには、その地域にいる現場の人を使っています。例えば、沖縄でビジネスを起こす場合は、沖縄の観光局と仕事をします。そして、セールスとマーケティングのプログラムを開発します。そこの市の方々と仕事をして、プランニングをしていきます。インフラとして、道路や鉄道、空港等を作る段階からその地方の行政と仕事をします。

○実は、このようなことは、他のMICE事業者と競争することではありません。なぜなら、ゴールは、こちらに来てもらうことです。来る方が増えれば、ここにいる全員が潤います。例えば、沖縄に行く方が増えれば、ホテルだけではなく、レストランもショッピングもすべてが潤います。

○お客がどこに行こうかを考えた際に、それを決める決め手になるのは、多くの要素があるのですが、一つは価格です。その部分において、IRはアドバンテージがあります。というのも、IRには多くのビジネス要素を含んでいます。単に、客室単価の競争をしなくても来てもらえる。ショーやレストランで消費していただけるので、客室料を高く設定しなくても良くなる。実際、1万ドルのコンベンション参加費を支払う場合、宿泊費や食費は無料にすることもあります。

○例えば、日本でのMICEを考えた際、まだ、このような場所は無いと思います。東京ビッグサイトには、このようなアフターミーティングを楽しむところはありません。ということは、ミーティングに行って、泊まっているホテルに戻りますので、そこの地域には何の恩恵もありません。

○アフターミーティングは、大手企業がよく使うのですが、例えば、マイクロソフトやApple、シスコ等は、レストランやナイトクラブでもかなり大きな消費をします。とても高収益なビジネスになります。

○ラスベガスでは、値段に対して質の高いホテルが多くあります。ワールドクラスのレストラン、先進的なミーティングスペースもあります。他の場所と比べても素晴らしい場所です。年間4,200万人の方がラスベガスには訪れていますが、ここは砂漠のど真ん中です。観光はラスベガスにとって生命線です。文化的にはここより魅力的な場所はもっと多くあると思います。その点では、日本の方が魅力的であると思います。しかしながら、ラスベガスは来なくてはいけない場所として作り上げられています。

MGM2   MGM3

(多くの従業員が働くホテル内には、従業員専用のカフェコーナーがありました。従業員の方は、誰でも無料で利用出来ます。)

 

MGM5   MGM4

(約3,500㎡のホール、前日のミーティングのかたづけで大勢の方が働いています。)

 

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(数千名規模のパーティに対応するため、バックヤード部分も大きな設備を有しています。調理施設や什器類の保管室にも多くの方が働いています。ミーティング専門のコックもいるとのことです。)

 

<視察⑦T-mobile Arena>

対応者:

【T-Mobile Arena】

Manager  Ms. Chelsea Seegers

MGM8

        MGM13   MGM12

○今年の4月にオープンしたばかりの、最新のアリーナ施設を視察しました。

○全部で2万人が収容出来ます。VIPルームとして、46のスイートルームと、8のバンカースイートルームがあります。水泳以外は、どんなスポーツも開催可能です。

○プライベートなミーティング等も開催出来、過去に110名規模のディナーをしたこともあります。20人~2万人クラスまで、幅広くイベントを開催出来ます。

 

MGM11

(バンカースイートへ)

○バンカースイートは、10年契約で、年間10万ドルの契約料が掛かります。契約しているオーナーの許可は必要になりますが、誰でも借り切ってパーティ―等を開催することが出来ます。

 

MGM10

(バドライト ラウンジ)

○クラブシートのメンバーだけが使える場所になります。プライベートのイベントにも使用できます。最大300名が収容できます。

○色々な方に来て頂けるように、ラスベガス観光局やMGMとも協力していますし、他のホテルとも協力関係を持っています。当初はここで、年間4~5のイベントを想定していましたが、来年は既に12のイベント予約が入っています。

○ラスベガスに多くの方が来て頂くためにも、このような施設は非常に重要になります。MGMと協力し、MGMが所有しているアリーナと、こちらを総合的に活用することが出来ています。

○コーポレートイベントの誘致のポイントは、1つ目は天候、2つ目は交通の便の良さ、3つ目はエンターテイメントです。企業のお客は、日中は仕事に集中したい、しかし、夜にはエンジョイしたいニーズがある。ですから、この3つが、ラスベガスの強みになっている。さらにホスピタリティの気持ちが必要で、サービスレベルを維持することも大切です。

○このアリーナは、MGMのものとしてではなく、ラスベガスのアリーナであると考えています。他のホテル、カジノの客にも、こちらで楽しんで頂きたいと考えています。

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MGM15

 

 

【グランド・キャニオン】

<視察⑦:グランド・キャニオン国立公園(アリゾナ州)>

対応者:

【Grand Canyon National Park】

Librarian  Edward M McClure

広報担当   Emily Davis

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(ラスベガスから、グランド・キャニオンへはセスナ機で移動します。天気にも恵まれ、とても気持ちのよいフライトでした。)

 

GC5   GC8

(写真右:野生動物の保護を呼びかける案内等も設置されています。)

(写真左:目の前に広がる雄大な景色に感動しました。)

 

GC6

GC4

「奄美・琉球 世界自然遺産」の登録に向け、自然保護やその活用について注目されております。また、西表・石垣に続き、やんばる地域も「国立公園」指定に向けて動き出しています。「ナショナルパーク事務所」を訪問し、国立公園の管理・運営方法について御説明頂きました。

GC10

 ○1916年に国立公園局組織法が制定され、グランド・キャニオンは1919年に国立公園として指定され、1979年に世界自然遺産に登録されました。国立公園法が制定されたのは、景観保護や歴史的な遺物、自然動植物の保護のためです。この場所を、将来の子孫のために、そのままの形で継承して行くことが目的です。グランド・キャニオンも、100年前の当時の景観をそのまま維持しています。

 

○子孫へ景観を残すことと、来た人に楽しんでもらうことのバランスをとることが困難です。

○環境保護で大切なのは、来た人をしっかりと監視することです。そして、案内板等の設置や自然保護の啓蒙活動もある意味での監視になります。

○せっかく来て頂いた方には素晴らしい経験をして欲しい。そのためにも事故予防を重視しています。そのような観点から、「PSAR:Preventive Search and Rescue」というプロジェクトを推進しています。この中で一番重要視しているのはPreventive(予防)です。レンジャーはパトロール中に、服装が軽装であったり、水や食料を持っていなかったり、健康状態が悪そうな方を見つけると注意を促しています。このプログラムが始まってから、死亡事故が60%も減っています。

○今年は、国立公園が制定されて100周年になります。グランド・キャニオンでも記念イベント等、色々なプログラムを開催する予定です。今年は600万人の来客を見込んでいます。(これまでの最多は2015年の560万人とのことです。)

○ナショナルパークの入場料は、車1台当たり30ドルです。入場料収入の80%は、ここの運営費に充てられ、残りは全米に413あるナショナルパークに分配されます。こちらの運営予算のうち、3/4は米国連邦政府から資金を頂いています。

○スタッフについて、時期にもよりますが450名程で管理しています。レンジャーのユニフォームを着ている方は200名程います。広大な敷地で、年間600万人近くの入客がありますので、スタッフをもっと増やしたいのですが、予算が厳しいのが課題です。

GC11

 

 

(文責:沖縄経済同友会事務局)

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