国際委員会では、平成31年2月19日(火)に「MRO Japan視察」を行いました。本視察に大嶺代表幹事、渕辺代表幹事をはじめとする総勢48名が参加しました。
まず、MRO Japan㈱の荒川社長よりご挨拶を頂いたあとに、会社概要などについて取締役の高橋様にご講話頂きました。
【概要】
●MRO Japan株式会社は、アジアの中心である沖縄でMRO事業を始めたいとの思いがあり2015年6月に会社を設立した。沖縄に格納庫が出来るまでの間は伊丹空港でMRO事業を行っており、2019年1月に沖縄に大阪から約250名相当の職員が移り、沖縄でのMRO事業を本格的に始めた。
●なぜ、沖縄かというのはやはりアジアの中心であるという地理的優位性。アジア(中国や台湾、シンガポールなど)では、航空機整備の需要は旺盛であり、ビジネスとしてもしっかり成り立っている。また、飛行機はお客様の命を預かるという事で品質が最重要事項であり、我々としてはANAグループで培ってきた日本の品質を武器としてMROビジネスに挑戦していきたいと考えている。
●将来的な市場としては、全世界で飛行機が現在24,000機あるが20年後には倍の48,000機になると言われている。こういった予測の中で、MRO事業としては現在の8兆円から10年先には12兆円の規模になるとの見通しがある。
●航空機を整備するには、国に代わって完了検査を行わないといけないことから国からの認定を受けなければならない。当社工場は大型機や小型機など、様々な飛行機を整備できる能力を持っているが、それはあくまで国内機だけ。我々が目指すところとしては、海外からの航空機整備受託であり、2020年を目標に取組を進めている。
●我々の主戦場は小型機(A320やB737など)である。こういった機体は国内エアラインはもちろんだが、LCCも多く採用している機体である。航空機というのはほとんどが購入せずにリース(期間は約8年間)となっており、リース満了後には機体を整備して返却しなければならない。Peachなどはちょうど今まさに開業から約8年経つ時期でもあり、今後は年間5機程度の返却が出てくる。しかし、リース機を整備するには海外の認定を取得しなければいけないことから、海外の認定を取得し国内のニーズも拾っていきたいと考えている。
●国内のニーズという事であれば、2020年に納入が予定されているMRJの整備である。世界で3社しか整備の認定を受けていない。今後はANAのMRJの整備などは全て沖縄で行うことになっていくと考えている。また、その他にもメーカーやエアラインの要請があれば、国内の整備工場に赴き修理をすることもあると考えている。
●横幅が190mで奥行きが約100m、高さが約34mと国内最大級の格納庫を擁している(羽田空港にある格納庫と同規模)。格納庫の中間付近に壁があり、壁を挟んで片側には小型機が3台、もう片方には大型機(777など)1機を収容可能であり更に飛行機を塗装する作業も可能となっている。
●航空機には様々な塗装が施される。その中でも日本のエアラインではポケモンであったり、最近ではスターウォーズなど(MRO Japan㈱ではスターウォーズの塗装を手掛けた)の特別塗装機もある。日本では航空機の塗装技術を持っているのはMRO Japanだけである。以前は伊丹空港でも行っていたが、沖縄への移転に伴い、こういった塗装を行うことが出来るのも国内では沖縄だけとなっている。作業はすべて手作業で行っており、色が多いほど重ね塗りをしないといけないので工期が延びる。ロボット化に向けても様々な企業と研究はしているが現時点では難しい状況である。
●航空機には数万点の部品が使われている。機体のメンテナンスは出来るが、取り外したエンジンは羽田やシンガポールでしか整備できないとなると非常に勿体ない。海外では機体の整備の周りに取り外したエンジンを整備する会社やその他部品の工場などがすぐ近くにあるという状況。このような航空機産業クラスターを形成し、国内国外を問わず様々な航空機の全ての整備が沖縄で完結できるようになっていく事が夢である。
【沖縄出身の若手社員の方々】
●仕事に対する熱い思いや意気込みなどをお話頂きました
【格納庫視察】
格納庫視察は、4グループに分かれてそれぞれご担当者よりご説明を伺いました。
(左:1グループ 右:2グループ)
(左:3グループ 右:4グループ)
【懇親会】
視察終了後には、懇親会を行い会員及びMRO Japan㈱の皆様との懇親を深めました。
(左:謝意を伝える大嶺代表 右:乾杯を行う荒川社長)
(左:渕辺代表より記念品の贈呈 右:前谷氏より閉会の挨拶)
本視察の開催に当たりご協力いただいた視察先関係者への皆様、本視察へご参加いただいた皆様へはこの場を借りて御礼申し上げます。