1.目的および概要:
沖縄経済同友会では国際委員会を中心に、海外におけるビジネスの可能性及び先進地事例の調査研究の一環として、毎年海外視察を行っており、これまでに、アジア各国や米国、欧州を訪問し、官公庁や海外展開を行う企業との意見交換を行ってきた。今年度は、欧州(ポーランド・フランス・ドイツ)視察を行った。
今年は日本とポーランドの国交100周年という記念すべき年であり、ポーランドでは、平成28年から2年間外務省沖縄担当大使を務められた、 川田 司駐ポーランド特命全権大使へ表敬訪問を行った。また、「アウシュビッツ博物館、ビルケナウ強制収容所」や、第2次世界大戦の戦災を免れた数少ない都市のひとつである「クラクフ歴史地区」の視察を行い、同国について理解を深めた。
フランスは、先進国の中で最も高い合計特殊出生率を出しているため、「JETROパリ事務所」を訪問し、少子化対策を確認するほか、エネルギー政策動向や地方分権制度について理解を深めた。
また、3,000名が就業可能な世界最大のスタートアップ施設「station-F(ステーションエフ)」の視察を行い、イノベーションに関する企業の戦略と具体的取組みについて調査した。
観光大国でもあるフランスでは、130年の歴史を持つ世界レベルのナイトショー「ムーランルージュ」の鑑賞や、観光地を巡り世界最高水準の観光リゾート地を目指す沖縄の在り方について考察した。
さらにドイツのハンブルクまで足をのばし、今年5月に東京―ハワイ間で就航した2階建てで520席を誇る、「エアバス製超大型旅客機A380工場」の視察を行った。
2.視察期間:令和元年11月16日(土)~23日(土)
3.視察先:欧州(ポーランド・フランス・ドイツ)
4.参加者:渕辺代表幹事、川上代表幹事、東副代表幹事、山城副代表幹事、當銘副代表幹事、東川平委員長、委員15名、事務局3名 計24名
5.視察内容:
⑴JETROワルシャワ事務所
- ホテル ブリストルの会議室にて、JETROワルシャワの清水 幹彦所長より、「ポーランドをどう見るか、ビジネス環境の現状と展望」という題で、ポーランドの概況説明をして頂いた。
- 欧州の中でのポーランドの順位や、経済概況・動向・変遷の説明や、日本企業の進出動向、主な投資案件、展望などの説明を受けた。
⑵ 在ポーランド日本国大使公邸
- 平成28年から2年間外務省沖縄担当大使を務められた 川田 司駐ポーランド特命全権大使を表敬訪問。
- 在ポーランド日本国大使公邸にお招き頂き、日本料理を振舞っていただきながら、川田大使による「ポーランド情勢」の説明を頂いた。
- ポーランドの波乱万丈の歴史や、政治、外交・安全保障、経済、対日関係など簡潔で解りやすい説明を受けた。
(3) 在フランス日本国大使館
- 在フランス日本国大使館の木寺 昌人駐フランス特命全権大使を表敬訪問。
- 木寺大使は、来客に食事を出す時は必ず泡盛を振舞うほどの泡盛愛好者であり、当会の訪問も快くお引き受けして頂いた。
- 木寺大使より、梶山官房長官に仕えてからの沖縄との縁についてのお話や、沖縄に対する熱い思いがある方々のお話を聴く事ができた。
(4) ハンブルク エアバス工場
- ドイツのハンブルクにあるエアバス工場を訪問し、2階建てで520席を誇る、エアバス製超大型旅客機A380の全日本空輸の3機目を製造している状況を視察。
- ハンブルクの工場に専用の滑走路を持っており、旅客機を中心に製造している。
- 最初に講堂でエアバス社の概要説明を受けた後、社員食堂にて食事、そして午後からは工場内のA380の現物の飛行機を見て説明を受けるだけでなく、機内にも入る事ができ貴重な体験となった。
(5) JETROパリ事務所
- JETROパリ事務所の片岡 進所長より、「フランスの最新政治経済動向」という題でフランスの概況説明をして頂いた。
- マクロン大統領の政権運営の説明や、フランスの最近の特徴としての「スタートアップエコシステムの急速な発展~人口知能分野の強み~」「地方自治体の独自の取組~スタートアップを取り込みつつ近代化~」の説明、「日仏関係を巡る諸状況」の説明を受けた。
- その他、「フランスにおける子育て支援制度」「フランスのエネルギー(原発)についての状況」についても説明を受けた。
(6) Station-F(ステーション エフ)
- 「Station-F(ステーション エフ)」は欧州最大級のインキュベーション施設。1万坪を超える巨大施設には、24時間利用できる3000を超えるデスクが用意され、3Dプリンターやレイザーカッターなどを備えたメイカーズスペースやビジネス支援オフィス、ミーティングルームやイベントホールなどが併設されている。
- 今回は2グループに分かれて施設内の説明を受けた。古い鉄道駅舎を利用した当施設内にはゲーム台などが数か所に置かれ自由に利用出来るようになっており、また誰でも利用できるフードコートが併設され、オープンで自由な発想を生み出せる環境が整っていた。
(7) ノートルダム大聖堂(火災後の現状視察)
- 今年4月15日の火災後、マクロン大統領は5年以内で再建するとしているが、鉛汚染や崩落の危険から、現状、焼失部以外の補強対策工事だけが施工。
- 再建に関しては、伝統に忠実な復元を望む多くのフランス市民と革新的なデザインを望むマクロン大統領が対立。
- 安全が確認された後、本格的な工事は2021年に着工する見通し。再建にはしばらく時間を要す。
- 世界から集まった寄付金の総額は1,200億円にのぼると言われている。
⑻観光地視察
① クラクフ歴史地区
ア.織物会館
イ.大聖堂
ウ.ヴァヴェル城
エ.旧市街散策
オ.聖マリア教会
② オシフィエンチム
ア.アウシュヴィッツ博物館
イ.ビルケナウ強制収容所
③ ワルシャワ
ア.ショパンの像
イ.旧王宮
ウ.聖十字架教会
エ.キュリー夫人の生家
オ.旧市街地広場
④ パリ市内視察
ア.ムーラン・ルージュ
イ.ポンピドゥー・センターorノートルダム大聖堂(火災後の現状視察)
最後になりましたが、本視察におきましては、川田 駐ポーランド特命全権大使、木寺 駐フランス特命全権大使はじめ、多くの方にご協力頂きました。この場を借りて心より御礼申し上げます。
視察報告書