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宮古島視察

1.目的および概要:

宮古島は、2009年1月に国内唯一の島嶼型の環境モデル都市として国から認定を受け、これまで低炭素化に向けた様々な取り組みを官民連携して進めてきており、2023年11月には県内の離島で初めて国の脱炭素先行地域に選ばれている。そのため、同島で取り組まれている脱炭素化をはじめ、循環型社会形成の実現に向けた取り組みについて知見を深めることを目的に同島の視察を行った。

一日目は、まず宮古島のサトウキビから除菌アルコールを生産する「㈱佐平建設 バイオエタノール生産設備施設」を視察した。その後、浸透水を地下の壁でせき止め、農業水として再利用できるように整備した地下ダムの、建設技術や構造、地下水のメカニズムなどをビデオやパネルで詳しく解説した「宮古島地下ダム資料館」および隣接する「福里地下ダム」を視察した。午後は、循環型社会の形成を図るため、家畜の糞尿や生ごみ、剪定枝等を堆肥化する「上野資源リサイクルセンター」と、2019年3月に開業し空港ターミナルとして全国初のゼロ・ネット・エネルギービル(ZEB)に取り組む「下地島空港ターミナル」を視察し、省エネについて考察を深めた。

二日目は、「宮古島市クリーンセンター」を視察し、ごみの減量化に向けた3R活動(Reduce,Reuse,Recycle)について学んだ。午後は、同島で再生可能エネルギーの導入拡大を推進する㈱ネクステムズから具体的な取り組みをご紹介いただき、意見交換を行った。最後は、沖縄電力㈱等が来間島で取り組んでいる「地域マイクログリッド構築事業」の設備を視察し、再生可能エネルギーの地産地消化や電力レジリエンスの強化等について学んだ。

2.期間:令和5年12月7日(木)~8日(金) 2日間

3.参加者:15名

No.当会役職氏名会社名役職名
1環境・エネルギー委員長久貝 博康沖縄プラント工業㈱代表取締役社長
2SDGs委員長栩野 浩沖縄ツーリスト㈱執行役員SDGs特命部長
3観光委員長喜久里 忍琉球セメント㈱代表取締役社長
4組織拡大・交流委員長小林 文彦川崎重工業㈱沖縄支社長
5常任幹事栗屋 勝幸住友商事九州㈱沖縄支店長
6常任幹事吉田 健夫大成建設㈱ 九州支店沖縄営業所営業所長
7会員喜納 健日本トランスオーシャン航空㈱取締役
8会員黒澤 淳㈱IHI九州支社沖縄オフィス所長
9会員手束 喜和㈱日立製作所九州支社 沖縄支店支店長
10会員伴野 賢太郎三菱地所㈱沖縄事業企画室長
11会員根路銘 剛宏㈱りゅうせき代表取締役副社長
12準会員髙野 衛沖縄日下部産業㈱執行役員営業部長
13オブザーバー佐藤 昭一琉球セメント㈱常務取締役
14事務局上地 龍太沖縄経済同友会事務局次長
15事務局金城 知沖縄経済同友会事務局研究員

4.視察先

1日目
①㈱佐平建設 バイオエタノール生産設備施設視察

 ㈱佐平建設がサトウキビの糖蜜を原料に宮古島産の除菌アルコールを生産する製造設備を視察した。現在、除菌アルコールの需要が少ないため、暫く稼働していないとのことであったが、こちらは以前環境省のE3事業で活用していた施設であり、非常に立派な設備であった。

②宮古島地下ダム資料館・福里地下ダム

 地下ダム資料館では、地下ダムの概要を説明したパネルや建設状況を記録したビデオ鑑賞を行った。その後、同資料館に隣接する福里地下ダムを視察した。

③上野資源リサイクルセンター

 同資源リサイクルセンターでは、牛糞や鶏糞、生ごみ、剪定枝等から堆肥を製造しており、その製造過程を視察した。また、その堆肥を使用して栽培するアスパラやカボチャの生育状況を確認した。

④下地島空港ターミナル

 同空港ターミナルは、年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロにする「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」化に取り組んでおり、屋根にCLT(直交集成板)の採用や地下水の冷熱を空調に転用して、現在一次エネルギー消費量の68%減を実現している。今後は、建物北側に太陽光発電設備を設置し、100%の削減を目指す。空港ターミナルでZEB化が実現すれば、国内初となる。
 また、「空港から、リゾート、はじまる」を施設コンセプトに、非常にリゾート感が溢れる素敵な空港ターミナルであった。

2日目
⑤宮古島市クリーンセンター

 ごみ焼却棟、リサイクル棟、プラザ棟の視察を行い、意見交換を行った。最も印象的であったのは、各家庭で不要になった衣類・食器・家具・ベビー用品・楽器等をプラザ棟に寄付したり、貰ったりできる無料のリサイクルショップであった。ランドセルやゴルフクラブ、ベビーカー等も陳列され、きれいな状態でまだまだ使える物が多く、1日に3個/名まで持ち帰ることができ、毎日150名~200名の出入りがあるとのことであった。ごみの減量化に繋がる非常に良い取り組みであり、各自治体にも水平展開すべきだと感じた。

⑥㈱ネクステムズとの意見交換会

 現在同社で推進している宮古島での「再エネサービスプロバイダ事業」等について紹介があった。お客様の住宅屋根に太陽光発電と蓄電池等を無料設置(設備メンテナンス含む)し、安く電気を供給するサービスだが、宮古島での普及件数が今年度で累計1,000件に到達するとのことであった。また、同事業は、石垣島、久米島でも行っており、3島分纏めて資機材(PV、蓄電池等)を購入することによりコスト低減を図っているとのことであった。

⑦来間島マイクログリッド実証設備視察

 沖縄電力㈱や㈱ネクステムズ等が来間島で進める「地域マイクログリッド構築事業」の「来間島マイクログリッド実証設備(MG蓄電池等)」を視察した。2022年6月には電力供給元の宮古島系統から切り離し、来間島内のマイクログリッドだけで100%の電力を供給できることを確認したとのことであり、来間島は日本で一番優れた電力供給網が構築されているとのことであった。
 また、㈱ネクステムズの比嘉社長の案内で来間島内の一般家庭側に設置した蓄電池も視察した。

 最後に、視察参加者からは、同島での先進的な取り組みを高く評価する声が聞かれ、今後の産業振興にも参考となる大変有意義な視察となった。今回の視察にあたり、宮古島の皆さまには多大なるご支援・ご協力をいただいた。この場を借りて厚く御礼申し上げる。

以上

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